遅延型アレルギー検査

Composition with common food allergens

遅延型アレルギー反応とは

アレルギー反応には、即発型であるIgE抗体と遅発型であるIgG抗体の2型あります。

ここでは遅発型のIgG抗体について説明します。

IgG抗体は、血液中で最も多くみられる抗体です。炎症のプロセスは数時間から数日間と緩やかであるため、このタイプの反応は「遅延型」と呼ばれます。免疫細胞が即時に、これらの免疫複合体を処理しますが、その能力には限界があります。 抗原を体から排除しようとする免疫細胞の能力を、過剰な抗原が飽和してしまう場合があり、その結果、免疫複合体が長期間にわたって体内を循環し、体組織への沈着が起こります。

IgG抗体による食物アレルギーに起因する症状は多岐に渡ります。

日本で一般的に行われているアレルギー検査は、食べてすぐに反応を起こす即時型というタイプのアレルギー検査です。隠れアレルギーの原因を探るには、IgG抗体検査によって、遅延型アレルギーに対する反応を検査する必要があります。 これは血液を数ml、わずかに使う検査です。

当院で行う遅延型アレルギー検査 192項目

遅延型アレルギーの症状にはどんなものがあるのか

遅延型アレルギーの症状は、体の内外を問わず多岐に渡り、一般的にアレルギー症状とは認識されないものも多く含まれます。

さらに、メンタル面への影響や肥満との関連も報告されています。原因不明のじんましん、湿疹(しっしん)、過敏性腸症候群など、慢性的な不調に、食物アレルギーの可能性があると注目されています。

遅延型アレルギーはアレルギーの症状が現れるまでに、数時間から数日間と時間がかかり、また反応が弱いため、なかなかアレルギーであると気づかれにくい傾向があります。

また、遅延型アレルギーは肥満にも関係しています。遅延型フードアレルギーのある食べ物を食べると小腸が炎症を起こしサイトカインという炎症や免疫に関わる物質が増え、脂肪細胞にダメージを与え脂肪細胞が肥大化し太ってしまうこともあります。

下記のような症状が続くようでしたら遅延型アレルギーかもしれません

消化器系
消化不良、吐き気、嘔吐、過敏性腸症候群、
下痢、便秘、膨満感、胃潰瘍、肛門掻痒、腹部のけいれん痛
泌尿器系
頻尿、排尿時の激痛と夜尿症(子供の場合)
精神的
極端な感情起伏、不安、ゆううつ、過食症、集中力不足、疲労、活動過多と不機嫌(子供の場合)
首と頭
耳感染、鼻詰まり、反復性の副鼻腔炎、頭痛、片頭痛、咽頭炎、口のびらん
喘息、不規則な心拍
筋肉と関節
筋肉痛、関節痛、関節の炎症、関節リウマチ
その他
水分貯留、体重増加、湿疹、じんましん、過剰発汗など

ご覧のとおり、あらゆる症状が食物アレルギーと関係しています。
しかし、これらのリストはあくまでも情報の一部にすぎず、考えられる可能性のすべてを網羅しているわけではありません。従って、自分の症状がここに載っていないからといって、自分の症状は食物アレルギーに起因していないとは言い切れないのです。

遅延型アレルギー検査の流れ

検査方法は、数滴の血液を採取させていただくのみです。
検査シートに血液をたらして、乾燥させて、海外に送付します。IgGの検査は少量の採血で可能ですが、IgEの検査も合わせて行う場合は、採血量が多くなりますのでご了承ください(採血量は検査の種類で変わります)。
192種類の食べ物についてのアレルギー反応をチェックします。
採取した血液をアメリカのシアトルに送り、結果が出るまでに3~4週間ほどかかります。その後、患者さまに医師から説明をいたします。

遅延型アレルギー検査ご希望の場合、お電話でご予約ください。受診時、他院で行った採血データ等あれば持参ください。

検査費用

自由診療のため、医療保険は使えません(クレジットカードはご利用いただけます)。
当クリニックでは、説明・指導も含めて38,500円(税込)でおこなっております。

遅延型アレルギーの治療

遅延型アレルギー検査の結果が陽性だった場合、免疫反応を鎮静化するために原因となる食物を避ける必要があります。

強い反応が出た場合は、3~6ヶ月、原因となる食物を完全に断つことが必要な場合があります。遅延型アレルギーになってしまうと、6ヶ月間アレルゲンを抜く必要があり、その食品を食べられなくなってしまいます。

6ヶ月食べなければ腸内の抗体免疫が切れるからです。
腸内の抗体免疫を作らせないためには、週4日以上同じ食べ物を食べないことが大切です。
好きな食材は、メーカーの違うものを選んで食べるように指導します。

このことを、食物をローテーションするといいます。
ローテーションの目的は、同じ食物を頻繁に摂取することを防ぐことにあります。
摂取の頻度が高いと、食物へのアレルギー反応が悪化することがあるためです。
上記と並行して、消化吸収機能を徹底的に改善する必要があります。

ぜんそくやアトピー性皮膚炎ではIgE抗体が上昇していることが多いのですが、IgE抗体が低値でも、この症例のように特定の食物に対するIgG抗体が高値であることが比較的多く見られるといわれています。

また、即時型と遅発型(潜在性)の両方のアレルギーを持っているケースも少なくないようです。

遅延型アレルギー検査をご希望の方へ

IgG抗体検査については、各学会の見解も踏まえたうえで受診されてください。

リンク1(日本アレルギー学会)

リンク2(日本小児アレルギー学会)