体内ミネラル検査

Food and science concept. Dietitian. Nutrition.

最近は体調不良を理由に受診される患者さまがたくさんいらっしゃいます。病気が原因でなく栄養障害がもたらした結果、特にミネラル不足によって起こる症状が目立つようになりました。

これは日本の食生活が欧米化してきたために、ビタミンやミネラルの摂取量が少なくなっているためです

特に日本人の場合は、遺伝子の関係もありますが、環境に左右されやすい民族でもあります。現代の食生活においては、ビタミンやミネラルの不足が原因となって起きる病気が非常に多くなっていることがわかっています。

欧米ではビタミンやミネラルの不足が、自閉症やうつ病の引き金になるという報告があり、食生活の改善やアドバイスが治療に取り入れられています。実際に、多くの方の病気が治っているとの報告もあります。

注意事項

  • 血液型不明の場合は検査できません。
  • 15歳未満、30㎏未満の方は原則、測定できません。検査行った場合は参考値となります。

食の変化に伴う健康被害(ミネラル不足のわけ)

現在の日本人がミネラル不足にある状況は、さまざまな要素があります。

  • 環境と土壌
  • 現代の食生活の変化
  • 加工食品の影響

みなさんご存知でしょうか、司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』の中でも出てきますが、日露戦争の際に、日本陸軍は27,000人が脚気(かっけ)によって死亡しています。

脚気が起こりはじめたのは、軍医である森鴎外の勧めで、白米ばかり食べていたからと言われています。脚気は気力や体力が低下し、しびれやむくみが出て、さらに悪化すると心不全に陥り死亡してしまうものでした。

昭和時代に入ってからわかったことですが、白米に精米したことで、玄米の糠(ぬか)の部分に含まれていたビタミンB1の摂取量が減り、脚気が起こっていたことがわかったのです。ぬか漬けは、ビタミンが豊富に含まれているため栄養面でもとても良い食品でしたが、生活スタイルの変化にともなって、今では家庭で作られているところも少なくなりましたね。

日常、診察の中で、よくお話を聞かせていただきわかったことは、圧倒的なミネラル不足です。 食生活の指導、ビタミン・ミネラルの摂り方をお伝えし、実行していただくと、体調が良くなります。

よくあるご質問

Q.体内ミネラル検査は保険適用になりますか?
A.現在は保険適応にはなりません。自費での診療となります。(詳細後述)
Q.検査で分かる結果報告は何ですか?
A.体内ミネラル検査は、必須ミネラルとしてナトリウム、カリウム、カルシウムなどの多量ミネラル5元素と鉄、亜鉛、銅などの微量ミネラル8元素の合計13元素、また参考ミネラルとしてバナジウム・コバルト・ニッケルなど7元素を評価します。これらのミネラルについては、厚生労働省が刊行する「日本人の食事摂取基準」内にて定義されています。

さらに身体に有害と考えられているカドミウムや水銀などを有害ミネラル(6元素)として評価しています。これら必須・有害ミネラルの濃度レベルやバランスを総合的に判断し、ミネラルバランスの崩れから判断できる症状や必要とされるミネラルがわかります。

Q.必須ミネラルとは?
A.生体に関する面でミネラルを分類すると、人に対する必須性から、「必須ミネラル」と「非必須ミネラル」に分けられます。

ミネラルが必須であるか非必須であるかを決めるためには、そのミネラルが不足した場合に、欠乏の状態が起き、そのミネラルを補給することにより欠乏状態が改善されれば、そのミネラルが必須ミネラルであると考えられています。

厚生労働省が食事摂取基準を設定している、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、リン、セレン、ヨウ素、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、銅、亜鉛の13種類のミネラルについて必須ミネラルと分類していますが、人において欠乏の状態が発見されているミネラルはまだ少なく、人以外の高等動物に欠乏状態が現れるミネラルは、人にとっても必須ミネラルの可能性があるという判断のもと分類されているものも含まれます。

Q.有害ミネラルとは
A.微量元素の中で生体における必須性が無いか、または必須性が明確でなく、これらの元素に暴露すると中毒などを引き起すカドミウムや水銀と、一部の研究で必須性が確認されていますが、過剰摂取などで有害性を示す、ヒ素、鉛、アルミニウム、ベリリウムを有害ミネラルと分類してます。

日本人の多くの患者さんが、水銀(有害ミネラル)の値が異常に高く、これはマグロの摂取のためです。これらの有害ミネラルが体調を悪くしています。

鉛は、必須性も研究されていますが、労働安全衛生法で鉛中毒予防規則が定められていて、神経系への有害性が報告されており、ベリリウムは呼吸器系への有害性などが近年研究されていることを考慮して有害ミネラルに含めています。メチル水銀は水俣病、カドミウムはイタイイタイ病の原因物質として知られています。

Q.具体的なミネラルについて
A.マンガンは、これは亜鉛とならんで、不足しがちなものです。骨の代謝、生殖機能に関係しており、筋無力症、パーキンソン病などの原因の一つといわれています。欠乏によりアセチルコリンの合成が妨げられるからです。

マンガンを多く含む食品は以下のようなものです。
青海苔、きくらげ(乾)、生姜(生)、干しえび、えごま(乾)、アーモンド(乾)、しじみ(生)、干し柿などです。 銅も重要で、銅を必要とする酵素はコラーゲンなどのタンパク合成に必要で、不足すると動脈硬化の原因になります。

クロムはインスリンの働きを増強するとされ、不足すると糖尿病の発症のリスクが高まります。 ヨウ素は甲状腺ホルモンの重要な構成成分ですが、遺伝的また幼児期の食事にヨウ素不足が続くと、先天性甲状腺機能低下(クレチン病)になり、発育不全や知能低下を生じます。

クレチンという名は、ギリシャのクレタ島に由来し、ヨウ素不足のクレタ島の子供たちに起こったことからきているようです。味覚がおかしいという方の中には、亜鉛が不足している方が多いです。亜鉛は、皮膚、内臓、脳、歯や骨の健康に欠かせないミネラルです。酵素をつくる際にも不可欠なものです。

肝臓の病気をもつ方が来院されるので、血液で亜鉛の濃度を測定することが頻繁にありますが、ストレスが多いと、肝臓で亜鉛と結合するタンパク質がつくられるために、血中の亜鉛濃度が低下して亜鉛不足になります。

また、降圧剤、利尿剤、高脂質血症の薬も、長期内服で亜鉛不足を起こすこともあります。

体内ミネラル検査をすることにより、適切な食事の指導ができます。具体的には最近多いのは、年のせいかだるい、ダイエットしているがなかなかやせることができない、とおっしゃる方々です。共通しているのは、検査をすると、有害ミネラルが非常に多い、また必須ミネラルが全体的に少ないことです。この状態ですと、個人差なく、代謝、循環が悪くなります。これは、生活環境に影響しています。

有害ミネラルでは、水銀も多いですが、アルミニウムが非常に多いです。これは、食品、飲料水の缶でアルミニウムがたくさん使用されていた時代があったこと、以前のお鍋は、アルミニウムが使われていましたが、それが溶け出して、知らない間に摂取していたことで、体内に蓄積されているようです。

また、必須ミネラルは、前述していますが、意識して摂取しないとどうしても不足気味になります。このような状態の方が多いのですが、意識してミネラル(特にマグネシウム)を摂っていただくようにお話しております。

具体的な食品として、海藻類、やき海苔、納豆、豆腐、ナッツ類、小魚(丸ごと食べられるもの:じゃこ、しらす、ししゃも、めざし、にぼしなど)、皮付きの魚(さんま、しゃけ)のことです。このような食品を意識して1ヶ月ほど食べていると、「体調が良くなった」、「肌がちがう」、「汗をかくようになった」などをおっしゃる方が多いです。

インスタント食品や加工食品の中には亜鉛の吸収を阻害する成分が入っているものがあり、またアルコールの過剰摂取は亜鉛を浪費します。認知症やうつ病の方も亜鉛不足が多く見られます。亜鉛を多く含む食品は、牡蠣、豆類、木の実、レバー、肉、魚介類、ココア、パルメザンチーズ、玄米などです。

マグネシウムを多く含む食品としては、わかめ・焼き海苔・小魚、大豆製品・ひじき・そば粉・ナッツ類などです。

食生活の指導、ビタミン、ミネラルの摂り方をお伝えし、実行していただくと、体調が良くなります。クリニックでも、慢性的な疲れ、冷え性などでお悩みの患者さまが、食事を意識して変えていただくだけで、「疲れがとれてきた」、「冷え症せが良くなった」という方が結構いらっしゃいます。

カリフォルニア大学バークレー校のブルース・エイムス教授(突然変異の試験(エイムス試験)で有名)は、亜鉛、鉄、ビタミンC、E、B6、B12、カロチンなどが不足すると、遺伝子DNAが切断されるなど、放射線を浴びたことと同じような状況になると報告しています。ミネラル不足は非常に危険なことがわかります。

ミネラルを十分摂れるような食事は、いくつになっても大切です。最近は、体内のミネラル検査方法として、髪の毛を使うことなく、手にレーザーを数か所あてることでミネラル検査ができる機械が海外で開発されています。日本でも使用できるように機械が導入されてくると思います。

料金について

体内ミネラル検査    1回    16,500円(税込)