イベルメクチン治療に対する考え方

〜 科学的根拠と医師の現場からの視点 〜

当院では、イベルメクチンという薬剤について多くの関心とご質問をいただいています。
一方で、SNSやネット上では根拠のない情報や誤解も広がっており、患者さん自身が何を信じていいか分からず困惑されている状況があります。

薬剤の安全性と有効性を適切に理解し、患者さんの健康を守ることは医療者の責務です。
このページでは、最新の医学的な視点と当院の理念に基づいて、イベルメクチンについての正しい理解をわかりやすく整理してお伝えします。


 イベルメクチンとは何か?

イベルメクチンは、元々は寄生虫感染症の治療に用いられてきた医薬品です。
海外では感染症治療に長く使われてきた歴史があり、安全性の高い薬剤として知られています。

しかし、すべての病気に効く“万能薬”という位置づけの薬ではありません。


イベルメクチンをめぐる誤解と現状

近年、インターネットや動画配信で「イベルメクチンが幅広い病気に効果がある」といった情報が流れ、特に個人輸入で使用されてきた方も少なくありません。
中でも、「がんに効くのでは」という期待や憶測は多く、医療界でも議論を呼んでいます。

ここでまず理解していただきたいのは、

現時点で科学的に確立された万能性はなく、
特定の疾患に明確な効果が立証されているわけではない

という点です。

薬に期待する気持ちは尊重しますが、誤った情報を基準に治療を選択することは、健康を損なうリスクにもなります。


個人輸入と医療用医薬品の違い

インターネット上で販売されている医薬品や海外からの個人輸入薬は、
必ずしも国内で承認された薬と同一の品質・成分・安全性が保証されているわけではありません。

また、薬には適切な用量や安全な使い方、併用薬との相互作用などの専門知識が必要です。
医師の管理下で使用しないと、思わぬ体調不良や副作用のリスクが高まります。


なぜ「万能薬」と言えないのか?

医療における薬の評価は、次のような段階を経て科学的に確立されます:

  1. 基礎研究(細胞・動物実験)

  2. 臨床試験(人間対象)

  3. 大規模データの評価と再現性

イベルメクチンについて、初期段階の研究や一部の報告は存在しますが、
「多くの疾患に効果がある」と断定できるレベルのデータは現時点で十分ではありません。


医師の立場からの率直な意見

当院医師は、動画でも以下のような考えをお伝えしました:

  • イベルメクチンに対する強い期待や関心は理解できる

  • 一方で、現状では万能薬としての位置づけはできない

  • 安全性や用量、副作用リスクの評価は医師の監督下で行うべき

  • 個人輸入での使用は推奨できない

この姿勢は、決して「否定」や「批判」ではなく、
患者さん一人ひとりの安全と健康を守るための責任ある判断です。


当院のアプローチ(オンライン診療)

当院では、イベルメクチンの取扱いに関して医療者としての責任を最優先に考えています。そのため、必要に応じて安全性や適応を判断するために、医師による個別診療を行っています。

オンライン診療を通じて以下のようなことが可能です:

  • 詳細な問診・病歴の確認

  • 既存の治療との安全性評価

  • リスクとメリットを丁寧に説明

  • 必要に応じた治療・処方の提示

医師管理のもとで薬剤を適切に使用することにより、
健康リスクを最小限に抑えることができます。


詳しくは動画でも解説しています

当院医師が動画で、イベルメクチンに対して“何が言えるのか/言えないのか”をわかりやすく話しています。
文字だけでは伝わりにくいニュアンスも含めて解説していますので、ぜひご覧ください。

「イベルメクチンについて、まずご理解いただきたいこと」
https://youtu.be/282Q4NEz72g


最後に

医療情報は日々更新され、研究も進んでいます。
私たちは常に最新の科学的根拠に基づいて、患者さん一人ひとりにとって最適な治療選択を提案していきます。

疑問点や不安なことがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。