こんにちは。看護師Sです。
歳末の候、みなさま寒さとともに忙しない日々を送られていると思います。
忙しさで疲れた身体に必要となるのは、適切な休養だと思います。
睡眠は身体を回復させ、パフォーマンスを向上させるために必須となります。
一方で、クリニックに来られる患者様の中で、多く耳にするのも睡眠のお悩みです。
とりわけ、
「寝つきはいいが、途中で起きてしまう」
「途中で起きたあと、なかなか寝付けない」
といったお悩みが多いように思います。
〜中途覚醒はどうして起こるの?〜
“眠っても、途中で起きてしまう”__この状態は、「中途覚醒」と呼ばれます。
睡眠は、
①身体の中で働いている覚醒ホルモンと睡眠ホルモン
②自律神経(交感神経、副交感神経)による体温や血圧の調整
これら2種類がバランスを取り合うことで良好に保たれます。
さらに言うと、
✧︎睡眠ホルモンが出ている状態
✧︎覚醒ホルモンが抑えられている状態
✧︎自律神経で副交感神経が強く働いている状態(=リラックス状態)
のときに、ぐっすり眠ることができるのです。
では、どうしてぐっすり眠れないの?途中で目が覚めてしまうの?
それは、上記した状態のいずれかが満たされていないから と考えることができます。
例えば……
✧︎分泌されている睡眠ホルモンが絶対量が足りない
✧︎寝ている状態なのに、睡眠ホルモンよりも、覚醒ホルモンが働いてしまっている
✧︎交感神経が強く働いている状態(=アクティブ状態)
これらにより、
「一度入眠しても、起きてしまう」
「起きたあとも身体が覚醒モードのままでなかなか眠りモードに切り替わらない」
が起こるのです。
つまり、これらの状態を改善してあげれば、良質な睡眠を取り戻せる可能性がある ということです。
〜ナチュラルに眠る〜
当院では、これらの身体のメカニズムを活かして、中途覚醒に役立つアイテムをご用意しております。

①身体の中で、睡眠ホルモンの量を底上げしてあげる
睡眠ホルモンは、「メラトニン」という名称がついています。
脳にある 松果体 という場所から分泌されるホルモンで、眠気や眠りの深さを誘導するはたらきがあります。
これが少ないと、逆の働きをするホルモン (覚醒ホルモン = コルチゾール ともいいます)の働きが強くなり、「目が覚めてしまう」「目が覚めたあと、再度 身体が睡眠モードにならない」 ということが起こります。
そこで、メラトニンを外部から補って、絶対量を増やしてあげることで、身体の睡眠ホルモンを長く保ち、睡眠モードを朝まで継続してあげる( = 覚醒ホルモンのはたらきを抑える) ことが、中途覚醒によいと考えられます。

②自律神経を整えて、リラックス状態に自然に切り替わるようにしてあげる
また、身体は自律神経(交感神経、副交感神経)によって、アクティブモードとリラックスモードに切り替わっています。
リラックスモードのとき、
✧︎体温が下がる
✧︎血圧が下がる
ことで、身体が休まるための環境が整えられます。
しかし、自律神経が乱れ、リラックスモードになりたいのにアクティブモードが強く働くときに、中途覚醒が起こりうる と考えられます。
それは、眠っている時も同様です。身体はまだ眠りたいのに、自然と体温や血圧が上がってきてしまうと、目が覚めてしまいます。
自律神経は、不安やストレスなどに慢性的に晒されることで、交感神経のほうが強く出やすくなる と言われています。
CBDは、神経伝達物質(自律神経系も含まれます)に働きかける作用があります。特に、副交感神経に働きかける力があり、リラックスモードの維持に役立ってくれるのです。
〜睡眠薬ってどうなの?〜
では、一般に処方される睡眠薬で対処するのはどうなのか?という疑問が起こると思います。
一般に処方される睡眠薬は、脳から出てくるリラックス作用をもたらす物質と、身体をリラックスモードにするスイッチ(それぞれGABA、GABA受容体 といいます) に働きかけることで、中途覚醒に対して即効性のあるはたらきをしてくれます。
しかし、長期間連用することで、耐性や依存性がついてしまうことがあります。
人間の身体には、”ホメオスタシス”という身体が環境の変化に慣れるための、振り子が自然と止まるような力が備わっています。この力が作用してしまい、薬で増強しても徐々にGABA受容体の感度が下がっていきます。すると、薬を増やさないと効かなくなる、いきなり減らすと体調を崩してしまう、といったことが起きてしまいます。
つまり、睡眠にとってとても役立つものではありますが、定期的に先生と効き目を吟味して、長期にわたって使いすぎないように管理が必要なアイテム ということになります。
メラトニン、CBDは、ホルモンや自律神経の生理作用を自然にアシスト、上乗せする形ではたらきかけてくれるので、睡眠薬に比べて依存性や耐性が少なく、身体への負担も少ないと考えられています。
〜さいごに〜
夜眠って、朝までぐっすり眠る。
これは、毎日を生き生き過ごすためにとても大切な土台です。
中途覚醒にお悩みを抱えている方は、ぜひ医師に一度ご相談ください。
お話を伺いながら、どのアプローチがいちばん良いか一緒に考えていきます。
皆様にとって、よりよい休息が得られますよう、この記事がお役に立てれば幸いです。
★スタッフこぼれ話★


♪諸人こぞりて 迎えまつれ
当院にもサンタさんがやってきてくれました。
クリニック恒例 古田サンタです。
“医療機関に行く”という憂鬱なイベントを、少しでも心癒される楽しい時間に変えてあげたい__。
そんな想いから、毎年開催しているクリスマスイベントです。
患者様のご反応もさまざまで、スタッフ一同嬉しい気持ちにさせていただいております。
「今年も先生やスタッフの姿を楽しみに来院しました」 と仰る患者さまもおられ、つくづく当院はあたたかな患者様に恵まれたクリニックだと実感しています。
2025年、古田先生にとっては試練もある一年となりました。
しかし、それを乗り越えられたのは、クリニックにご来院くださる皆様のあたたかな応援のおかげだと、先生も仰っています。
私どもも、皆様のお力に励まされて、日々精進しております。
今年一年、本当にありがとうございました。
良いお年をお過ごしになってください。
また来年も、何卒よろしくお願い申し上げます。
